自邸
マンションの限界を、
広さで超える。
はじまりは、無理だと言われたこと
マンションには、動かせないものがあります。構造の壁、梁の位置、天井の高さ、水まわりの配管。だから「マンションだからここが限界です」と言われる場面が、何度もありました。
でも、限界だと言われているのは間取りの限界であって、広さの感じ方の限界ではない。同じ面積のまま、どこまで広く感じさせられるか——自分の家は、そこから始めました。
目指したのは、部屋数の多い住まいではありません。ヴィラのように、ひと続きで抜けていく場所。そして帰ってくるたび、少しだけ日常から離れられる家です。
見つけた、この家の基準
壁で仕切らない。床の素材と、家具の高さで分ける。
視線が止まる場所をつくらなければ、面積は変わらなくても奥行きは伸びる。
部屋を増やすのではなく、いちばん長い対角線を、家の中に一本通す。
迎える場所から
台所を、壁から離す
キッチンを壁付けにせず、島のように独立させました。背面には調理台を通し、そのあいだを歩けるようにしています。«行き止まりをつくらない» ——これも広さの感じ方に効きます。
ミッドセンチュリーと、北欧のヴィンテージ
家具は、新しいものだけで揃えませんでした。北欧ヴィンテージの椅子、ミッドセンチュリーの照明。すでに何十年か誰かに使われてきたものを、いくつか混ぜています。
新品だけで揃えた部屋は、入居した日がいちばん完成しています。でも古いものが混ざっていると、この家がいつからあるのか分からなくなる。新築のマンションらしさを消したかったので、そうしました。
ひとつだけ、床を上げた
住みはじめて分かったのは、広く感じるかどうかは面積ではなかったということです。いちばん奥まで目が届くこと、行き止まりがないこと、床の素材が変わること。効いていたのは、そういうことでした。
「マンションだからここが限界」と言われたら、たいていそれは間取りの限界です。まだやれることは残っています。それを確かめるために、この家を先につくりました。
あなたの家は、
本当にそこが限界でしょうか。
